長い休日

とにかく書く。

ベストアルバムについて。 5

Disc2

1 スペードのエース

二枚目最初の曲。景気づけに最強。 この曲目当てで、『SUPER ZOO!!!』を買うくらい、ドンピシャなロックンロール。

「空からは気紛れな雨」というフレーズがもう好きすぎて、いつでも頭の中で掻き鳴っている。

ちなみに、SMAP の楽曲コンペに出した曲とのこと。ここら辺の考察は、別項目に。語りたいことが多すぎる。

 

2 十字路

ドライビングソングって感じの、疾走感の気持ち良い楽曲。 この曲を聴きながらどこまでも飛ばしていきたい、と言いたいけれど、免許持ってないので、言い切れないこの悔しさよ。

 

3 魚藍坂横断

さて、『ANGEL』から続いた『SUPER ZOO!!!』の楽曲群もここで終わり。実際に元のアルバムでは最後の楽曲を飾るので、そこの違和感に少し惑いつつ、ただゆったりとした空気を楽しんでいる。 「ある晴れた午後の 魚籃坂横断」の気持ちよさ。日本語の響きとして嵌りがすごく良い一方で、詩としても逃げてないのが、CARNATION のロックの形だと思い起こさせる、一曲。

4 オフィーリア

丁度、このアルバムを買いに行っていたときに店内に流れていた楽曲…ということを覚えているくらいに、キャッチ―で、それでいて切ないメロディーを持っている楽曲。 ただ演奏自体は力強く、グルービーで、そしてそれがまた強がっている感じがして、切なさが増してくる。

 

5 PARADISE EXPRESS

この楽曲も踊れるロック。ドラムの跳ね具合が非常に楽しい。 前の楽曲の切ない感じを吹き飛ばしつつ、グルーヴさは相変わらず見せつけてくる。あと唐突な C メロも楽しい。いや、ここでぶっこむ!?というか、まだメロディーライン出してくる!?という驚きの曲。

 

6 ジェイソン(Short Version)

Short Version とあるが、5 分ある曲。驚きポイント 1。

出だしの「ジェーイソン、ジェーイソン!」の驚きポイント 2。

この曲からドラムが抜けてついに二人組に。驚きポイント 3。

とまあ、何かとトピックの多い曲。楽曲自体は、『夜の煙突』並みに、ロックンロールのノリ一発感も強いけど、まあ退屈させないのがすごい。 こうなると、Long Version が気になる。

 

7 さみだれ

楽曲自体はノリのよい疾走感のあるロックンロール。ただメロディーラインや歌 詞の内容は非常に愁いを含んでいるものとなっている。ドラムが抜けたことへの吹っ切れ感が前の楽曲で出てきているのであれば、この曲では喪失感が現れているとも言える。

 

8 I LOVE YOU

さて、東北の震災後に発表された曲なのだが、楽曲自体は更に前からあったという、 色々と経緯が複雑な楽曲。

内容自体はこっぱずかしくなるくらいストレートなラブソング。メロディーラインもストレートだし、楽曲もスパッと終わるので、オールディーズの雰囲気が漂う楽曲。

 

9 アダムスキー(Album Mix)

ここからは、おおよそリアルタイムで追っている楽曲で、当方としては顔なじみ という感じだ。

しかしである。問題は入口として聴いた次曲を除くと、アレンジで全面に出てくるのは意外と打ち込みの音。あと、歌詞もかなり不思議というか、とっつきにくい。反対に言えば、全く若さを失っていない。初めて聴いた感覚でいうと、「本当に 35 年もやってきたバンドなの?」と疑いたくなる、そのくらい遊び心が満載。

その代表格『アダムスキー』、記念ライブでは一曲目だったとか。

現在の CARNATION は、この曲から地続きという感覚なのかもしれない。

 

10 いつかここで会いましょう

さて、大本命というか、個人的には思い出深い曲。さもありなん、この曲で出会ったのだから。

素敵なポップチューン。 ドラム、ベースのリズム感もさることながら、メロディーラインの美しさ、歌詞も良い。「高圧鉄塔のむこうへ」ってどうやったら出てくるのだろう。

ただ、この楽曲は題名「いつかここで会いましょう」が、すべてを物語ってい る。この題名で名曲じゃないわけがないって感覚ありません?

 

11 E.B.I.

エビフライ。いや、本当にエビフライという一単語に収まる曲なのである。

ちゃんとしなきゃ、ちゃんとしなきゃ、って言ってる人が歌うロックンロールで はない。

楽曲のノリが若いのと関係あるかどうかは分からないが、やたらと食に関する楽 曲が多いのも、最近の特徴かもしれない。

 

12 Peanut Butter & Jelly

個人的に『いつかここで会いましょう』と並ぶ、ポップサイドの CARNATIONの代表曲、というかお気に入り。ドッシリと構えつつ、しっかりと跳ねる。

ちなみにドラムは、脱退した矢部さんが担当している。しかし、以前のような強いグルーヴではなく、アダムスキー以降のポップス路線を意識したリズムを“奏でて” いる。

 

13 Little Jetty

さて、このベストアルバム唯一のベーシスト大田さんがヴォーカルをとる楽曲。直江さんも年季の入った味わい深い声をしているけど、大田さんも負けないくらい、艶やかな声をしている。

ここまでが既出曲。

 

14 Future Song

新曲。こちらは五人時代のメンバー勢ぞろいで鳴らされた楽曲。 『長い休日』でも触れたが、この曲でも足し算引き算溜め走りが完璧に行われていて恐れ入る。

“物語の中に僕たち暮らしてた”っていうフレーズのうまさ。こんなにもバンドと いうモノを強く意識する歌詞に今まであったことはない。

 

15 サンセット・モンスターズ

新曲。こちらは最近組んでいる若手のメンバーと鳴らされた楽曲。 まあ、まだまだくたばる気がないということがよくわかる楽曲だし、それでいてそれ以上にこれからに期待してしまう楽曲。

 

というわけで、全 30 曲追ってみたわけであるが、如何だったでしょうか。

 

このベストアルバムで見えて来るのは、ロックンロールを起点としながらも、ポップスへの姿勢を妥協しない点が一つとしてあること。

二つ目には、美しくてフックのある メロディーラインを描きつつも、そこに乗せる日本語も、詩として決して一筋縄ではいかない面白さを垣間見せるということ。

そして最後に、CARNATION 自身がバンドという物語を非常に楽しんでやっているということ。『Future Song』で取り上げた歌詞はそれを端的に表していると思う。 このことは、もしかするとベストアルバムが如何なる布石にもなっていないことを示唆するかもしれない。

 

“サンセット・モンスターズ サンセット・モンスターズ 心の 中に居るはずさ きっと”っていうのは、バンドとは違う心のどこかで新しい企みが始まる面白さの表れとも取れる。そうだとすれば、過去のような楽曲が出来ることはこのベストアルバムに収録された新曲『Future Song』で証明しつつも、違う新たな可能性が次に出てくることはある意味請け合いだろう。

 

と言いつつ、新譜を気長に待とうと思う。