長い休日

とにかく書く。

ベストアルバム論、その2の3。

9. がんばりましょう

意外や意外と低い 44 位。個人的にはもう少し上でもよいなと思いつつ、この時期の楽曲が少ないのがこのベストアルバムの唯一の残念な点ではある。

“この時期”、この第二期の模索期から第三期の 6 スマ期の楽曲は、SMAP における一つのピークといっても過言ではない。それは、この曲をはじめとして『KANSHAして』、 『しようよ』、『どんないいこと』、『胸騒ぎを頼むよ』などの楽曲群のポテンシャルのクオリティーの高さ、それを支えるアルバムにおける豪華なミュージシャンの競演、そしてソロはもちろん、パートごとの声のバランスの良さとそれに伴うパフォーマンスの華やかさなど、 様々な点が挙げられる。

この『がんばりましょう』も木村ソロ、森ソロの後に、中居・稲垣パート、草彅・香取パートと続いてサビへ向かう。そして間奏では円形に囲んでのダンスバトルと、非常にフックが多い楽曲であるが、この時期の楽曲はこの若さ(ひいては青さとも言える)を武器にしたパフォーマンスの質の高さが一つの SMAP の特徴と言える。

 

10. 俺たちに明日はある

続いても、低い 48 位。まあ、ギリギリ入ったので、良しとする。

パフォーマンスとしては、3-3 のパートがあったあと、木村ソロが入って、サビという曲の構成。ダンスとしては、スタンドマイク。これがまたカッコいんだ。 このように、パフォーマンスもさることながら、この曲でのトピックは 2014 年の 27 時間テレビ内で放送されたモキュメンタリ―ドラマのタイトルとしてだろう。そしてその内容は、まさに SMAP 解散というソレだった。 結局、真実について彼らはこのドラマ内でも直接語ることはなかった。そして解散しないことを発表したのはライブ、ファンの前だったことは彼らの在り方として印象的なシーンだったと言えるだろう。ちなみにこのドラマで歌われた楽曲はこの『俺たちに明日はある』 と、Disc3 に収録された『どうか届きますように』の二曲であった。

余談一。ドラマパートのあと、番組は「ワイドナショー」のコーナーへと移ったのだが、その際の衣装はドラマラストとのライブ衣装であった。リアルとフィクションの境目がよくわからなくなる 一瞬。

余談二。ドラマパート内でメンバー揃っての撮影のシーンがあるが、これはこの番組内で急きょ発売が発表されたアルバム『Mr.S』のプロモーション写真だったりする。本人たち はその発表に驚いていたが...。リアルとフィクションの境目がよくわからなくなる一瞬。

余談三。『Mr.S』のコンサートでもアンコールで歌われている。衣装は、『Mr.S』のメンバースーツ。 アンコールで歌ったことにも何か意味があったのかもしれないと思うと、この楽曲が入って良かったと思う瞬間。

 

11. 青いイナズマ

36 位という手堅い順位。 森君脱退という非常にナイーブな時期に出されたシングルではあるが、文字通り彼らの代表曲として名高い楽曲である。 パフォーマンスとしては過渡期という印象で、木村ソロ、稲垣ソロと続いてほか三人 のパートでサビという構成。個人的にはサビの「Get you!」も嫌いではないが、B メロで中居君が下二人を連れて真ん中から出てくるダンスパフォーマンスが地味に好き。

ちなみに PV はロンドンで撮影されたもの。そこでのフォトセッションは『SMAP 009』 に収録されている。必見。

 

12. SHAKE

これまた 27 位という手堅い順位。ライブの定番曲が、中盤あたりに固まっているのかもしれない。

この曲も、5 人になる過渡期という印象。理由は二枚目のベストアルバム 『WOOL』にある。 この『WOOL』発売時点では次曲の『ダイナマイト』までがシングルとしては発売されていたのだが、収録されているのは『SHAKE』まで。これが 6 人時代の区切りとして、 ここまでと見てください、という表れなのではないかと思っている。 ただ、作曲陣の真新しさや、パフォーマンスのダンスの抜き具合、若しくは衣装のカジ ュアルさなどはだんだん雑食期へと変化していっている。ここから、6 人時代とはまた異なる若者像を提示することとなる。

 

13. ダイナマイト

47 位という、これまたスレスレの順位。こういう王道の楽曲を入れるために、50 曲も収録したんじゃないかと思えてきた...。

『青いイナズマ』『SHAKE』『ダイナマイト』と踊れる楽曲三連続という感じで、このラインがライブの定番曲の中核になっている。楽曲のポテンシャルもそうだけど、ソロと各自のパート割も絶妙。この曲は香取ソロ。ソロパートがあるのに、木村ソロがないシングル はこの曲だけとか。

 

14. 夜空のムコウ

有名すぎるミリオンセラー、ファン投票でも堂々の 13 位。

アイドル楽曲、特に SMAP は、その曲のクオリティーの高さもあってか、本人が歌えばもっと良いのにという言説もあるが、スガシカオ曰く「この曲を時代とつなげたのは SMAP」と太鼓判を押す楽曲。

売れるアイドルっていうのは、まあ顔が良かったり、歌が上手かったり、という技術的な部分もあると思うけど、一番は時代を反映できているかどうかだと考える。スガシカオバブル崩壊後に就職していたところも詩に反映されているのかもしれないが、それがアイドル氷河期と呼ばれる時代にスターダムに上がって、時代を掴み取った曲が華やかな曲じゃなくて、 味わい深いバラード楽曲というのが、もしかしたら SMAP の醍醐味なのかもしれない。

「あの頃の未来に 僕らは立っているのかな」という詩がスガシカオ曰く、発明らしい。 「過去の未来としての現在」を歌うという複雑な視点がこの歌詞に集約されているのだが、 それをあえて SMAP にぶつけて、それに応えて売れちゃうんだから不思議なものだ。

楽曲の話というよりかは、スガシカオの話が殆どになってしまったが、まあのス ガシカオも好きなんです。もしかしたら次はスガシカオかも。

 

15. たいせつ

49 位。個人的には、入っていて一番驚いた楽曲。

キラキラアイドル路線をとっくに捨て去り、歌詞では「スーパーマンじゃないけれど」 と軽く歌う。 もしかしたら彼らの楽曲のなかで一番、跳ねている楽曲かもしれない。

発売直後のライブパフォーマンスも好き。

 

16. Five True Love

ここで初のアルバム曲、『SMAP013 BIRDMAN』から、41 位。そして、初のメンバー紹介曲。

それにしても上手いこと一枚ずつに、三曲の FIVE シリーズがバラけたもんですよ。

さて、この楽曲のメンバー紹介の順番は年齢順である。実はこの後の楽曲ではメンバー順が、変わっていたりするのだが、それは後々。

歌詞は、まだまだ若々しくて勝気。曲調もドッシリとしたロッ クテイスト。ライブではよりブラスセクションが加わって、よりファンキーかつファンファーレ感が強くなっている。

ちなみに、SMAP は森君がいる 6 人というのをメンバーは強く持っているけれど、メンバー紹介曲で必ず 5 という数字を強調するのは、一人いないことを結果として意識する ためだと思っている。この失ったものが残っているものから透けて見える感じが、SMAP の今にまで続く魅力の一つだと考える。

 

17. らいおんハート

ようやく 1 枚目の最終曲。ミリオンセラー、そして 10 周年へのバラード、ファン投票 は 23 位と堂々の順位。

特徴としては、一番 A メロ丸々木村拓哉だろう。これに中居正広はメロメロだったとか。ただ、地味に中居ソロが好き。また、アルバム『S map』には、メンバーのパートが入れ替わったバージョンも入っている。

意外とライブで歌われることが少ないけれど、個人的には 2008 年のライブバージョンが好み。