長い休日

とにかく書く。

ベストアルバム論、その2の4。

 

取り上げたいアルバムがあるので、積み残しを終わらせたいマン!

 

終わるかなぁ…

 

Disc 2

1. オレンジ

  さて、Disc 2 の一曲目は、堂々の二位を獲得した、有名すぎるカップリング曲。 ちなみに、一位と三位がコアなファン層が流れた楽曲という印象が個人的に強いのに対して、こちらはなんとなく SMAP を追っていたライトなファンが投票して、この順位になったと勝手に推測している。 ただ、そうはいっても人気曲というわけで、発売以降のベストアルバム『pamS』、『SMAP AID』には常連とは言わんばかりに入っている。個人的にはどちらかのタイミングで PV を 作ってもよかったのではないかと思っている。 ちなみに、『pamS』では二曲目に収録されているので、この曲が一曲目に来るのはこの Disc 2 のみである。このアルバム、一曲目を既存のアルバムと外しているのが地味に肝なのではないかとこれも勝手な推測。

  SMAP 自身、2014 年以降にはシングルでは両 A 面という形が定着したし、それ以前から世間的にはこの発売形態が広がっていたので、このような有名なカップリング曲というのは出て来にくく なるのではないかと思う。まあ、それ以前に有名なカップリング曲を持つアーティストが他にいるのかという話もあるし、『ベストフレンド』然り、彼らがシングルと同じだけカップリングに力を入れてきた結果とも十二分に言える。

 

2. freebird

  稲垣吾郎復帰後一枚目のシングルは 31 位という心地よい順位にすっと入った、大人爽やかソング。 全編にわたってゆったりとした、でもしっかりとしたラップで曲を回していき、フックのあるサビで締めるという、SMAP が新しい POP 像を作りしていく...筈だった楽曲である。 ちなみに、『SMAP AID』にも収録されており、その時には 15 位で、一曲目だった。『オレンジ』の項で書いたが、このアルバム微妙に一曲目を既存のアルバムと外しているのが面白い点である。

  ちなみにパート割としては、大サビが中居正広。ボーカリストとしての魅力はまた後ほど。

 

3. FIVE RESPECT

  メンバー紹介楽曲第二弾、おそらく世間的に一番周知されているだろう紹介楽曲は、第六位の大健闘。ちなみに第五位は同じく第三弾の『CRASY FIVE』という順位。ファン的には外せない思いで、この順位になったのだと思う。

さて、『Five True Love』がロック調だったのに対し、こちらはエレクトロパンク(?)といった感じで、こちらの方が中居正広らしい、ダンサブルかつ過度な転調、そしてそれを力ずくでまとめ上げるサビの美メロと歌詞という、鉄壁の楽曲である。

  また、変更点としては紹介順が木村拓哉から年齢順だったのが、稲垣と草彅パートが反対になったことと、一番サビを挟んでの紹介人数が三人/二人だったのが、二人/三人になったことである。こ れは、のちの『CRASY FIVE』でも同じである。

  ここからは推測だが、この変更点はライブの演出上、はじめに三人紹介すると舞台上では香取慎吾だけ出てないという状況を作ってしまうことと、もし初めの三人をそろえてパフォーマンスする場合、スピード感あふれるダンスパートを実現するために、先に草彅剛を出すという中居正広の思惑があるのではないかと考える。

ちなみに、前曲との流れは『SMAP015 Drink! Smap!』と同じである。

 

4. 世界に一つだけの花(シングル・ヴァージョン)

  メンバー紹介曲の後に、彼らの有名すぎる代表曲がドンと居座る、(文字通り)世紀の国民的名曲は、意外にも(?)12 位。まあ、みんなシングル盤を持っているのかもしれないし、他の楽曲に票を入れたい気持ちもよく分かる。そう意味では健闘したのかもしれない。

  この楽曲に関しては、解散騒動以降のファンからの応援運動で、デビュー日の週に 300 万枚に届くというドラマもあったりする。それはそれで記録としては残るのだろうけど、デビュー曲でナンバーワンになれず、すぐにスターになったわけではないのに、そこからの努力でオンリーワンになれるということを証明しているのが、この楽曲を反映 しているようで面白い。 まあ、一つ前の楽曲では「We are the best」と歌ったりしているのだが、それはそれ。

  シングルバージョンとあるように、もともとは『Drink! Smap!』の収録曲。歌唱順も大胆に変えられ、大サビ前は木村から草彅に変更された。ドラマの主題歌になったからとか、 色々な思惑はあったのだろうけれど、個人的には草彅剛の持つドラマティックな歌声と、その場の感情で変わる歌唱力が好きなので、これでいいと思っている。

  この結果、今のところ SMAP で最後のサビを取った のは草彅ということになったのも、彼ららしい。

  個人的に、この曲で表される「多様性の受容」は、2010年代には失われ始めていたように感じる。

 

5. 僕は君を連れてゆく

  世紀の大ヒットシングルのカップリング曲は、ファン投票 35 位のバラードソング。 個人的に好きな楽曲だけど、みんな好きな曲なのだろうか、といって探っていたら、みんな投票して入っていた、というような本当に良い曲。

  とはいっても、歌われた回数で言えばこのアルバムのなかでも少ない方だと思う。 

  それにしても、世紀の大ヒットシングルを、メンバー紹介曲とそのカップリング曲で挟んで、アルバムとして成立させるあたり、うまい曲順にしたなと思う。

  これぞ発表順の妙!!!

 

6. SUMMER GATE

  ニッポンの夏は、SMAP の夏と言わんばかりのポップチューンは、ちょうど順位の折り返し25位。

  さて、ここから 4 曲は『SMAP016 MIJ』からの楽曲だが、このアルバムにはシングル曲が入っていないというのが大きなトピックとして挙げられる。そんなアルバムの実質的な一曲目を担っているのがこの楽曲であるが、シングルカットしてもよかったのではないかというほどのお手本のようなポップチューン、かつアイドルソングである。

  SMAPファンの間では、この曲にかけて、SMAP のライブ開催が決定することを「サマゲ開いた」と言ったりする。

  これ、テストに出ます。

 

7. A Song For Your Love

  隠れた名曲を次々と明るみに出してくる、このベストアルバムのなかでもひときわ人気を証明する第 9 位。

  さて、基本的に人気曲というと、単純に楽曲の素晴らしさが挙げられると思うし、ここまでの紹介もそのようにしてきた。しかし、彼らがアイドルであることを推し量れば、別の魅力にも気付くはず...つまり、ダンスのフリと歌割である。この曲の人気はそこにもあるといっ ても過言ではない。

  この曲の構成は、Aメロ→Bメロ→サビが二番続いたあとに、大サビ前の Bメロ→大サビの流 れである。重要なのは Aメロで、この部分はメンバーから二人で組になって掛け合う形で歌唱するのだが、この組み合わせの一つが天下の「ツートップ」なのである!!

  「ツートップ」とは、中居正広木村拓哉SMAP年長組のことである!!  しかし、この二人の組み合わせはその人気に関わらず、あまりパッキングされないのである!!  そんな、 「ツートップ」ファン、もとい全 SMAP ファンを救済してくれる楽曲のうちの一曲が、この曲なのだ!!  

  まずイントロで、「ツートップ」が前に出てくるだけで歓声が上がり、一番を二人で踊っているだけで歓声が上がり、2 番で掛け合いながら歌って歓声が上がる!! もう、歓声だらけ。

  ただ、この楽曲の要所要所を締めるのは、Bメロの香取慎吾であることを忘れてはいけない。彼のしっかりとした歌声が、このころから SMAP の楽曲を支えていくようになった…のかな? もちろん「ロハス」もお忘れなく。

 

8. 夏日憂歌

  読み方は「サマータイムブルース」というちょっと中二心をクスグル題名は、男心を奮い立たせる「オレンジ」の続編、順位は 42 位。

  この楽曲は誰が何と言おうと、中居ソロ。もう一度言いましょう、中居ソロ!私は、このソロで SMAP にハマったといっても過言ではない! そう、私は中居正広のことを音痴と 思ったことがない!

  そんな信仰告白はともかく(笑)、楽曲中の Bメロ部分を全て中居ソロというのはこの 楽曲くらいなのではないだろうか。そしてそれに加えて、その歌声がもう半端なくカッコいい。シブいというか、やるせなさというか、男が惚れる声...というか、もう聴いてください。

 

9. ススメ!

  どっしりと構えたファンファーレは、アルバム曲ながらオリンピックのテーマソングは選ばれた 23 位。『SMAP AID』にも選ばれた知る人ぞ知る応援ソングだ。

  元々入っている『SMAP MIJ』にはアルバムのラストの曲として入っており、同アルバムのタイトルチューンといっても差し支えないだろう。まあ、MV こそ作られてないが。

  また、この楽曲は幻のシングルバージョンも存在する...らしい。しかもアレンジも少し違うとか、云云。これが結局発売されなかったことで、同アルバムからは実質的にシングルが入っていないアルバムになってしまった、のと同時に 2004年の SMAP の音楽活動自体がなく なってしまったことになる。

 

個人的に、『freebird』から、『SMAP  MIJ』までが第4期。稲垣吾郎復帰後、もといSMAPの10周年を期に、新たなポップス像を作ろうとしたのだが、『世界に一つだけの花』が生まれたことによって、その試みが頓挫してしまった時期である。

次の第5期では、『世界に一つだけの花』の “呪縛” もとい “制約”のなかで、どのようなポップスを作られてきたのかが焦点となる。