小秋日和
小春日和が、冬先の暖かい日を指し示すように、春の日に、気持ち寒く、なお通り雨が降るような日を「小秋日和」と名付けたし。
まあ、そもそも「秋」という季節が曖昧で、有るかないか定かではない。小生は京都に住んでいた時に初めて「秋」の実感を得た。
広島には、「秋」と呼ばれる季節は特になかったように思う。「安芸」だけど。
東京に四季はない。
四季が “ある” というのは、あくまで近畿圏の話である。考えれば当たり前で、日本の文化の多く、かつ基礎的なものは京都や近畿圏で整えられたのである。反対に言えば、他の地域は否が応でもズレる。それをスタンダードと言い張るのだから、まあよくも今まで騙してくれたものである。
ただ、ともすると小秋日和は、東京特有のものかもしれない。
京都は盆地寒暖差が激しいため、かえって「寒の戻り」というのがあまりない。簡単に言えば、「昼暑夜寒」が春、「昼暑夜暑」が夏、「昼寒夜暑」が秋、「昼寒夜寒」が冬、と言った具合。ちなみに気持ち春が長く感じるのは、「さっさと冬を終わらせたい」という人間の気が早いのもあるが、夜の空気が温まるのに時間がかかるからだと思う。反対に、夜は冷えやすいので、秋は気持ち短い。ただ、意地でも冬と認めたくないので、結果トントンまで人間が持って行ってるといえよう。
人間とはいじらしい生き物である。
一方、東京は比べて北に位置するためか、冬が長い。あと、海に面していて風が強いからか、空気は暖かいのに、風で寒いみたいな感覚がある。
気持ち薄着、でもマフラーはつけとこう。よくわからんけど、通り雨が来る。ああ、今日は暖かかった日だったのか。もう夜が来て寒いけど。
そんな日が「小秋日和」。
とはいえ元も子もなくすれば、小生がただ秋が好きというだけなのかもしれないが、いじらしいとでも思ってくれ。