長い休日

とにかく書く。

ベストアルバム論、その2の7。

 

お、終わりが見えてきた!

かけるぜ!スパート!

 

8. さかさまの空

本人たちが出演しない、連続ドラマ小説『梅ちゃん先生』の主題歌にもなった、菅野よう子作曲のポップチューンは、43 位と順位は低め。だがこの時期のシングルとしては唯一のランクイン。

さて、サラッと紹介したのだが、実の所7曲目と8曲目の間には4年間くらい飛ばされている。まあ、アンケートによる結果なので仕方ないのだが、もちろんこの間に何もなかったわけではない。というより、この間には震災と、それを受けての被災地支援、加えて北京公演と実際にはかなり忙しかったと言っても良い。ただそれはかなり外向けの活動だったと言っても良い。

さかさまの空』も、もちろんドラマのタイアップがあるので “外向け” ではあるけれど、個人的にはスタンドマイクでのパフォーマンスを含めて、ファンのところに “帰ってきた” ような感がある。それは、この曲が入っている『GIFT of SMAP』でよりはっきり示されることとなる。

 

9. 手を繋ごう

GIFT of SMAP』ツアーの本編ラストを飾った楽曲は、前山田健一作詞作曲の、手近な平和ソング。順位は 32 位で、カップリング曲としてはこのアルバムでは最後の収録曲となる。まあ、この曲以降、両 A 面という形が多くなるのも原因の一つなのだけれど。

世界に一つだけの花』以降、SMAPの武器としてこういう平和ソングを度々発売したのだけれど、それはもう一方で縛りでもあった。そして、それを乗り越えるために、あえて『世界に一つだけの花』と同等の一体感を得られる曲を求めるようになったのではないかと思う。そしてその答えが、この曲とライブでのパフォーマンスだったのではいかと思う。

そしてその結果『GIFT of SMAP』ツアーでは、『世界に一つだけの花』を歌うことなく、完遂することとなった。この『世界に一つだけの花』がなくてもSMAPをやれるという確信が、『Mistake! / Buttery』以降のシングルに影響を与えているのだと思う。

ちなみに、A面は『Moment』で、こちらはアルバム未収録。オリンピックのテーマソングにもなったのにもかかわらず。

 

10. gift

アルバム『GIFT of SMAP』のリード曲は、またもや菅野よう子作曲のポップチューン。順位も 24 位と、シングルの『さかさまの空』より上。

さて、『GIFT of SMAP』は菅野よう子が実質的に全体のプロデュースをしていると言っても過言ではないアルバムである。それは、収録シングルとアルバムリード曲、さらにオープニングとエンディングのテーマを書いていることからも明らかである。

ただ、その一方で強烈な個性をもつアーティストにトータルプロデュースを委ねても消えない “SMAPらしさ” が発揮されているからこそ、このことを可能にしているということを見逃してはならない。むしろ、香取慎吾がこのタイミングで “SMAPらしさ” をつかんだと言っても良いだろう。それは、どこまで世間の “SMAP像” を保ったまま、同時にそれを壊すことが可能になるのかということへの挑戦である。

これは、『世界に一つだけの花』で固定された “SMAP像” の新たな乗り超えを踏み出す第一歩とも言える。

 

 

11. 前に!

先ほどはリード曲だったけど、こちらは実質的なラストを飾る力強いファンファーレ。 14 位という非常に高い順位で、結構驚く。

実はこの曲、もともとシングル候補だったらしい。と言っても木村くんが昔ラジオで言ってたことのうろ覚えで裏は取れてないのだが、せっかくいい曲なのでアルバムに入れさせてもらったとか。

ちなみにその競合相手が、『Moment』である。ベストアルバムとの兼ね合いと、シングルの評価が一致しないケースとしてみれば、結構面白い。

ちなみに、Disc 2の『ススメ!』と曲名は似通っているが、特に関連性はない。

 

12. CRAZY FIVE

「FIVE シリーズ」最後の楽曲は、「なーにー?」の掛け合いも楽しいダンスチューン。 作詞作曲編曲から楽曲構成、果てはダンスのフリや演出まで、「This is 中居」印の、 圧倒的アッパーチューンでもある。順位も 5 位で、人気の高さを伺わせる。

とにかく「聴いてくれ!」の一言。この曲にSMAPの全てがは詰まっている。

ちなみに、作ったのこそ中居くんだが、依頼したのは香取くん。タイトルも確か香取くんで、そこからインスピレーションを得たとかという話ではなかったか。どうも、うろ覚え。

 

13. Battery

久々のイケイケのダンスチューンは、全編英語詩の EDMチューン。19 位という高い順位の裏側には、 USJ 効果もあると思われる。

個人的に、リアルタイムで聞いた時に、「カッコいいSMAPやーー!」と、ほんとに興奮した。両A面の『Mistake!』もそうだが、こっからギアの入れ直しがハンパないというか、絶対今まで出し惜しみしてたやろ!と思わず突っ込みたくなるほど、カッコええんじゃ!

まあ、見所は全部なのだが、ハイライトは何と言っても大サビ前の香取くんのソロラップパート。もう、完璧というか、ここだけ聴いても盛り上がれる。なんというか…強い?

ここから、勝手に「SMAP覚醒期」と呼んでる傑作量産期に入る。

 

14. Joy!!

SMAP 後期を語るうえで、最重要楽曲であろう記念すべき 50 枚目のシングルは、香取慎吾主演ドラマ『幽かな彼女』主題化でもある楽曲、16 位。こう見ると意外と高い順位が続くのね。

編曲は毎度?の菅野よう子。おもちゃ箱をひっくり返したようなアレンジも面白いが、4分未満でスパッと終わる潔いポップスというのが、素晴らしい。そして、ライブ映えが凄まじい。『世界に一つだけの花』の一体感に似た高揚感が、そこにはある。

あと、個人的には、大サビ前のメンバー全員でソロをつなぐところでの木村くんのパートのアレンジ具合と、中居くんの歌詞変えるのか変えないのかが見所。あと、衣装がまっ黄っ黄で、恥ずかしそうなのが面白かった。めっちゃ似合ってたのに。

このカラフルな感じが、香取P?

 

15. シャレオツ

6 人時代の SMAP を感じさせつつ、それでいてオトナの風格をまとってさらに、進化、 深化した楽曲は 46 位。とにかく質の高いシングル楽曲が多く、アルバム収録漏れも多いなか、運良くこのアルバムに拾われた形。

この時期の路線として、『Mistake!』以降の大人ポップスがあって、この曲以降は、アルバム『Mr.S』の楽曲群を通って最終的に『華麗なる逆襲』へとつながっていくわけだが、まあこの手の楽曲はSMAPの専売特許ポップスであった。ここら辺が新しい歌謡曲として広がっておけば、もっとJ-popシーンに広がりが出て面白かったのだけれど、結局「若かろう良かろう」なアイドルシーンで平成は終わった感がある。残念。

細かく書くときりがないけれど、ヤッパリAメロ丸々草彅くんというのは思い切りが良いなと。覚醒期の一番の特徴は、パート割が完成されていて、それがそのままSMAPにしか歌えないことを示してるところである。約束された冒険というか、外しようのない難題というか。

ヤッパリ最高じゃない?

 

16. Amazing Discovery

『Buttery』と同じく、USJ のテーマソングとなった楽曲は、田中ヤスタカ作詞作曲の エレクトロポップチューン。順位も 26 位と上々である。

実は、入っていて意外だった曲。というのも、テレビでパフォーマンスされるのは両A面の『Top Of The World』が多く、こちらの方が人気なのではないかと思っていたからである。『Buttery』もそうだが意外とUSJ人気の層が後期には多いのかもしれない。そう考えると、タイアップと人気の関連性も少し気になるところ。

さておき楽曲はというと、中田ヤスタカ氏お得意のエレクトロポップチューン。何というか、冒険心くすぐられる楽曲で、『シャレオツ』で見せるオトナ感とは逆の、アイドルらしい “少年感” が満載である。特に大サビ前のの香取くんのソロとか。

ここら辺のキャラの変換は、SMAPの面白さだよなあと思う。

 

17. ビートフルデイ

平成現在のラストアルバム『Mr.S』の Disc1のラストチューンは、このアルバムの一曲目『Can’t Stop -LOVING-』に対応するように「S・M・A・P」とコールの入る、パーティーチューンで、29 位。

まあ、盛り上がる曲。歌詞もあまり中身のない内容だがそれはそのままオトナの余裕に繋がってるようにも思う。『Joy!!』と『シャレオツ』を掛け合わしたような感覚といってもいいだろう。

最初にも書いたが、「S・M・A・P」とコールの入る楽曲で、上手いこと一曲目『Can’t Stop -LOVING-』と呼応していて、アルバムという形態において綺麗にハマった形になっている。ある意味、この楽曲でアルバム自体は終わってると言っても良いだろう。

年代順という一見単純な曲順だが、うまく出来すぎてる感じがして、この如才ない感じがSMAPだとも思う。ほんとに人の手が加わってないのだろうか。

「てきとーのてーときーととー!」って歌ってるけども 笑 

 

18. 華麗なる逆襲

アルバムのラストを飾る楽曲は、椎名林檎作詞作曲の極上のポップス。草彅剛主演ドラマ『銭の戦争』主題歌でもあるこの楽曲は、11 位。

まあ、上手いことこの楽曲が巡り巡ってきたなとつくづく思う。前にも書いたが、この曲を含めた最後期の楽曲はもうSMAPでしか歌えないレベルになっていて、アイドルにおける代替可能な偶像性をなくしてしまってる感がスゴイ。「事実は小説よりも奇なり」という諺もあるが、17曲目ひいては49曲目までが全て “予兆” で、この楽曲で一歩先の未来を指ししているような構成にも思えてしまうのは、小生だけだろうか。

この辺りの、事故や偶然ですら、物語として前向きに取り込んで大きなうねりを、ダイナミクスとして昇華するのがSMAPというアイドルの物語の特徴なのだと思う。

どうでもいいけど、このアルバムでも最後のソロは、草彅くんなんだよな…

 

というわけで、50曲分の解説が終わったわけではあるが、まとめは次に。

いつになるやらわからんけども 笑