口に優しい言葉から
びっくりするくらい反対の意見が自分に飛び出してくることがある。
一週間とは言わないものの、割と短期間のうちにである。
戸惑いがないわけではない。やれ、話の内容が「面白い」「面白くない」、容貌の「良し」「悪し」、または「綺麗」「不潔」、歳が「若い」「老けてる」なんてこともあった。
当方としては、どちらが嬉しいということもない。他人のいうことなど千変万化、その時々に切り取った「私」を見ているだけなので、左右されないのが吉だ。
ただ友人関係は別で、彼らはよく見ているので、礼を忘れないようにしつつ、あまり気取らないようにもする。“親しき仲にも礼儀あり”というが、礼を尽くす価値のある人を、「友人」ともしかしたら考えているのかもしれない。
しかし、人間思いがけず、不思議な言葉をかけられることもある。
訳あってメイクを施してもらったときに、「あなたの顔は完成されている」と例えられたのである。
「美しい」「若々しい」ならともかく、「完成されている」という言葉は非常に不思議な心持ちがした。
当方まだ二十歳過ぎにして未だ道成らずの身なので、「完成」も何もないのだが、その言葉が自信をくれたことは確かである。
今の自分を頂点だと思う気はさらさらないが、一つのピークを迎えてると前向きに捉えることができる嬉しい出来事であった。