京都、吉田山の上から。
京都に旅に出ている。
もとい、気分としては帰っている気分なので、旅とは言わないのかもしれない。
ただ、良い言葉が見つからないので、旅とする。
去年まで、何もせず大学で学んでいた場も、何かしら新しくなっていたり、無くなっていたりするのが忙しい。
そのような中、前々から行こう行こうと思いながら、在学中に行かなかった場所は数多くある。
不思議な話だが、当時はびっくりするほどお金がなかったのだ。
お金のない大学生は基本的に勉強するしかない。
というわけで、イソイソと勉強した結果、東京へ出る羽目になったのだが、帰ってみるとやはり京都は都合が良い。
何が都合が良いかといえば、街のスケール感である。
とにかく、東京は広い。
行きたい場所に行くと、そこしか行くところがない。加えて、あるのはファストフード店と流行りの食べ物ばかり。まあ、時々は面白そうな店を発見するけれど、街一つに一つの個性と大半のレディメイドというのが、いたるところである。
正直非効率。
その点、京都は基本歩けば着く。
確かに、狭いが一日に目的があれば、歩きあるいは自転車で京都中を駆け巡りすべからく目的を達成できる。
もしくは、今日は運がなかったと落胆する。
独り住まいには、非常に都合が良い。
無論、お金があれば。
吉田山の喫茶店に話を戻せば、隣の席のおっさん(敬称)がシャンディーガフを飲んでるのが心底羨ましい。
小生はカフェオレであった。
三時のおやつという甘言に負けた形(ケーキセット)であったが、今日のように日が暖かで、少し汗ばむような日であれば、お昼から飲むお酒も良かっただろうと思う。
ここら辺の緩さは、在学中に住んでたから出る発想だろうか。そんな気がする。
ただいま夕方に差し掛かる山の中は、人のしゃべりが心地よい。
山というか、岡といっても良いだろうが、京都は少し街中を離れれば、割と静かなのが面白い。ああも、鴨川が静かなのも面白い。人の話がよく聞こえる。でも、聞いてない奥ゆかしさ。
おっさんはシャンディーガフ二杯目。ツツジはピンク。今日の服は赤。取り巻くは緑。「ゆとり」とはよく色を見る事なのかもしれない。
別にそうじゃなくても良い、お金があれば。