長い休日

とにかく書く。

ベストアルバム論 、その2の6。

 

あと、3回で終わらせる!

 

Disc 3

1. ありがとう

記念すべき 30 枚目のシングルは、素直なメッセージと素直じゃないメロディラインが絶妙にマッチしたポップチューン、順位は10位でファンの思いも届いた順位と言える。

さて、基本的にはリリース順に収録されているわけだが、この曲だけは例外的に実際より早い順位で収録されている。とはいっても、ライブで先に披露されていたり、発売が同年だったりするので細かいことではあるのだが(そういえば、SMAPはアルバムの発売がライブ開始に肉薄しすぎるグループだった!)、アルバムのおさまりとしてもちょうど良い感じもする。前にも書いた通り、どのアルバムのオープニングとも被らないし。

それにしても、初めに書いたようにこの曲メロディーラインが複雑、しかもコーラスまでついてる。というか、SMAPて割とコーラスグループ。

そして、アンコールの常連曲でもある。

 

2. Simple

ファンに寄り添う同棲ソングは、45 位。歌詞の世界観とか、ミドルチューンな曲調とか、中居くんが好きそう。

実際、このアルバムのライブ以降、ライブプロデューサーは香取慎吾氏が主導することになるので、中居くんがアルバムの曲に大きく関わったのが最後なのではないかと思われる。その『Pop! Up! SMAP』は、(次の曲も含めて)中居くんからファンに向けての、ちょっとしたサービスだったり、あるいは私的なところが垣間見えるアルバムなのかもしれない。

個人的には、大サビ前の吾郎ちゃんと草彅くんのパートが好き。

 

3. STAY

「たったの 50 年いっしょに」と歌われる、SMAP とファンの思いを繋ぐミドルチューンは、このアルバムのジャケットにも反映されている、堂々の第一位。

正直な話、 『SMAP AID』に入るまで自分はノーマークだった、もっといえば『SMAP AID』に入るまで人気曲だということにも気づかなかったし、入ったこと自体も意外だった。しかし、それ以降はこの曲のライブ映像などを繰り返しみたり、あるいは曲を聴くたびに SMAP っぽい楽曲だなというのをよく思う。

それは、一番の A メロ全部が木村くんで、それを受ける B メロの中居くん、そしてサビに言った後、二番をロハスでつないでいく...、そして要所要所では慎吾ちゃんがしっかり締める、といったパート割、ミドルチューンにしては激しめのダンスの振り付け(中居くん好み?)、あくまでも永遠ではなく、“いま” に生きようとする歌詞など、この一曲を聴けばSMAPがどんなアイドルかが分かる、もっといえば平成のアイドルの基本的な在り方みたいなことが分かるのではないかとまで思うようになった。

ちなみに、個人的にSMAPの最後のライブパフォーマンスと考えている『カウントダウン TV』でも歌われている。 このライブは本人が言っている通り、中居くんプロデュースなのだが、ファンの多くはこのパフォーマンスを受けて、この曲を一位に押し上げる大きな力になったのではないかと。

 

4. この瞬間、きっと夢じゃない

解散騒動時の『世界に一つだけの花』購買運動につながる、草彅くんの逮捕時の購買運動の対象シングルになった曲はオリンピックのテーマソングでもあった、18 位となかなかの順位。

先ほども少し書いたが、ここからはライブの主導が香取くんに変わり、その影響が少しずつ楽曲にも影響していく。とはいってもこの曲はまだ、移行期といった感じで、複雑なメロディーラインにしては、これまでの SMAP らしさを消さない程度の楽曲の完成を目指している。

楽曲としては、A メロのハモリの多様さが素晴しい。歌が下手ってよく言われるけれど、それ以上に難しい歌を選んでるっていうのが、実際なのではないかと。

あと、地味に4分満たない短い楽曲なのが個人的に嬉しい。

 

5. はじまりのうた

転調に継ぐ転調で、聴き手を翻弄するポップチューンは、『SMAP AID』でも堂々二位だった、人気曲。今回は 17 位と少し順位を落とす結果となっているが、健闘している。

個人的に、『super. modern. artistic. performance.』はプログレアルバムだと思ってて、『この瞬間、きっと夢じゃない』や『そのまま』、配信限定楽曲だった『Mermaid』などの既発曲や、次曲の『どうか届きますように』のような “王道” の曲がある一方で、この曲や『keep on』『ココロパズルリズム』『Still U』など、転調や打ち込みが特徴的なプログレ楽曲も少なくない。まあ、“Fiveシリーズ” でこう言う曲調が得意なのは証明済なので、それを普遍的なポップスに落とし込めるのかが問題なのだけれど、人気曲に昇華した『はじまりのうた』は『s.m.a.p.』のウラの表題曲ともいえよう。

スマスマで披露した映像が有名なのだが、個人的には発売された年かなんかの年末のMステで披露された記憶があるのだが、果たして。

 

6. どうか届きますように

アルバム『super. modern. artistic. performance』のラストを飾るバラードは、SMAP とファンを繋げる楽曲、順位は 40 位。

俺たちに明日はある』のところでも触れたように、この曲はSMAPの解散モキュメンタリードラマの最後のライブシーンで歌われた楽曲。ファンがどのくらいそれを意識したかはわからないが、個人的にはそちらで印象深い曲でもある。

また、『SMAP AID』にも入っているのだが、こちらはスマスマの 3.11特番で披露された影響もあるだろう。こういうことを踏まえると、意外とアルバム曲では恵まれた楽曲と言えるだろう。

楽曲としては王道のバラード…と書きたいところだが、Aメロの割と急かすようなメロディー、サビのコーラスなど、意外と単純じゃない楽曲。

 

7. チョモランマの唄

SMAP AID』で惜しくもランキングを逃したツアーのジャンクション用の楽曲は、 最後の “新曲” として音源初収録。順位も 8 位と、なぜ今まで音源化されなかったのか、不思議な楽曲である。

SMAPライブの面白さは、もちろん本編にもあるのだが、それと同じくらいに、場面転換のジャンクションの細かさや面白さにある。この楽曲はその中でも人気の曲、だった二分にも満たない楽曲だが、ここで歌われる歌詞が、エンタテイナーとしてのSMAPの矜持がギュッと詰まっていると言える。

そういう意味では、SMAP の自己紹介楽曲とも言え、解散に向けて言及できなくなっていた自身のあり方についての答えがこの楽曲に現れているのでわないか。

 

というわけで、Disc 3 の半分まで来たわけだが、次はラスト『SMAP AID』以降の楽曲を紹介することになる。つまり、ここから先はベストアルバム初収録ということになる。

実は、この間にSMAPはシングルを三枚、オリジナルアルバム『We are SMAP!』、そして『SMAP AID』を発売してるのだが、その収録曲がこのアルバムでは見事に抜け落ちてる。最後の記事では、これまでのまとめと、こうした抜け落ちてる曲をいくつか紹介するつもりだ。

ま、そのためには最後まで書かないといけないのだけれど…