長い休日

とにかく書く。

ベストアルバム論、その2の5。

 

良い加減、終わらせたいんじゃー!

 

がんばるぞい!

 

10. Song of X’smap

  2005年発売の、久々のシングルリリースのカップリングは、一月発売のクリスマスソング(笑)。順位は 34 位と、季節モノとしては健闘したのではないか。

 さて、一月発売のクリスマスソングであるが、理由は 2004 年の音楽活動がなかったことによる。いろんな理由があったのだろうが、SMAP 自身はやはりファンに申し訳ない気持ちがあったのだろう。年末に 5 人全員が出演するドラマを製作、そして同ドラマの主題歌に “クリスマスプレゼント” としてこの曲を発表した。

 作曲菅野よう子、作詞麻生哲郎コンビ。このコンビが、この楽曲以降の SMAP に大きな変化をもたらしていくことになるが、それは後々に。

 「誰かに愛されながら ぼくらは生まれ 誰かに愛されながら ぼくらは生きていく」 は、ポップソングでも屈指のフレーズ。また、『雪が降ってきた』に続くSMAP の冬の定番曲といっても差し支えないと個人的には思う。

ここで言うのもなんだけど、なんで『雪が降ってきた』がこのアルバムに入らなかったのかは、割と謎ではある。

 

11. BANG! BANG! バカンス!

世界に一つだけの花』路線を踏まえつつ、それでいて盛り上がる曲をと考えられた意欲的なアッパーチューンは、アル バム初集録となる 21 位にランクイン。

SMAP は、アマノジャクである。そして、その一つの表れがシングル曲のアルバム収録率の低さ。別に他のアイドルのことはよく分かってないのだけれど、この楽曲のように、テレビでしょっちゅう歌われていた、更には発売以降のライブでは毎回歌っていたキラーチューンが、これまでのアルバムに入っていなかったのである。しかも、コンピレーションアルバムも発売されてないことも相まって、地味に手に入れにくい楽曲になってしまう…よくわからない負の連鎖。

作詞は宮藤官九郎。歌詞自体には本当に中身がない。

この中身のなさでオリコ ン一位を取れるのだ!

現在のよく分からん在り来たりアイドルラブソングの数々、くそくらえ!

ただ、ライブではよく分からないまま盛り上がる。 個人的には、この楽曲から本格的な『世界に一つだけの花』以降の新たなアイドル像の模索期、第5期に入ると考える。それは、『世界に一つだけの花』のイメージを守りながら、それでいて如何にアイドルとしての魅力を失わないか、ひいてはかつての同世代の代弁者であったり、アイドルらしからぬセクシーさを武器としていた頃の SMAP とは違う、新しい “武器” の模索である。そしてそんな中から、この楽曲を はじめとする新しい “スタンダード” を作りだすようになる。

 

12. Dawn

  香取さん主演のドラマ『幽かな彼女』の挿入歌にもなったアルバム曲は、緩やかにファ ン層の人気を勝ち取った堂々の 15 位。

  Disc 2 の楽曲は基本的に『SMAP AID』と重複していたり、発売当初から人気曲として名高いものが多い中で、先のドラマの影響もあってか、するりとこのアルバムに入ってきた印象がある。

  この楽曲が入っている『SAMPLE BANG!』はその名の通り、『世界』以降の SMAP の模索している感じがそのまま反映している、サンプル感が非常に強い。ただ裏を返せばそれは、このアルバム以降は基本的にこのアルバムを下敷きに考えられたといっても過言ではない。言ってみれば、二度目のデビュー盤でもある。

  ただ、正直なところを言えば、このアルバムの楽曲は押しなべて楽曲として弱いという印象がある。しかし、ここを乗り越えたからこそ、SMAP は長く続いたとも言えよう。

  そのような中で、この楽曲は人と人とのつながりを、自分の弱さを抱えながら歌う、SMAP らしい楽曲になっている。

 

13. Fine, Peace!

  50 曲もある収録曲の中で、唯一 5 人で歌っていない楽曲は、『SMAP AID』にも収録された人気曲で 38 位。ちなみに歌っているのは、木村・草彅・香取の三人で、スポットは草彅氏に当たっている。

  SMAP の楽曲でのコンビ曲、ソロ曲はそんなに珍しいものではない。ただ組み合わせには多少偏りがあるのも事実で、この並びはこの楽曲ともう一曲あるのみ(『感じやすい不機嫌』、『SMAP 007 ーGold Singerー』収録)である。

  個人的には、年下と組む時の木村君の年上感が割と好きで、この楽曲もそのような一面が強く表れている、気がする。

  楽曲の R&B 感もさることながら、振り付けもカッコよくて好き。

 

14. Triangle

『世界』路線を強く受けながらも、より濃く平和に対して真摯に歌い、それでいてポップソングとして破綻のない絶妙なバランスの楽曲は、20 位と堅実にランクイン。

  2015 年あたりから、東京五輪を意識して再び取り上げられることが多くなった楽曲で、 現状での SMAP 最後の紅白歌合戦でも歌われた。

  少し話はそれるが、2014 年と2015 年の SMAP紅白歌合戦のパフォーマンスは完璧だと、勝手に思っている。

  2015 年に関して言えば、この楽曲を披露している時にカメラが一回も切り替わらなかったのが印象深い。ちなみにそ の後に披露されたのが『Otherside』で、SMAP で一番動かないパフォーマンスから、SMAP が一番動くパフォーマンスへの転換となった。 そう、SMAP は動かなくてもパフォーマンスが成り立つ稀有なアイドルでもある。いや、動ないこと自体が一つの特徴なのかもしれない。

  個人的には、平和の曲という印象もあるが、それ以上に “望郷” の曲という印象も強い。あと、曲が進むにつれて、アレンジが厚くなっていくのは The Beatles っぽくもある。なんだかんだで、色んな要素を含んでるんだよな。

 

15. Dear WOMAN

  Disc 2 最後の楽曲は『SMAP AID』で辛くも収録が逃れてしまった、ある意味リベンジを果たした楽曲、順位は 37 位。

  先ほども書いた通り、『世界』以降の SMAP は模索期に入った一方で、『世界』に支えられた安定した人気のなかで実験的な楽曲を出していたとも言える。この楽曲もそんな一曲で、作詞の麻生哲郎氏は、フェミニズムに溺れ過ぎないギリギリのところで女性を応援する歌詞を書くという難しいラインを、サラッとやってのけた。しかも、ポップなダンスチューンというのがまた心憎いところ。

  ちなみにシングルの表題曲は、女性を応援する楽曲だが、カップリングは『buzzer beater』という男子へのちょっとした応援ソング。こういう風にきちんと “カップリング” されているのが、SMAP の律儀なところでもある。

 

  というわけで、Disc 2 を見てきたわけだが、実はこの間約五年、正確に言えば 2004 年 は活動していないので実質約 4 年なのだが、全体的に見て、この短い期間で Disc 2 が構成されていることを鑑みれば、このタイミングでファンになった人、もっと言えば『世界に一つだけの花』で獲得したファンが、最後まで離れなかったことが SMAP の安定した、人気につながっていたのではないかと個人的に思う。

  次はいよいよ、第5期の後半から第6期、香取プロデュースの時代に入っていく。