長い休日

とにかく書く。

GRAPEVINE『ALL THE LIGHT』レビュー、Alright ?

とにかく、傑作なので、ササッとレビュー、プラスかるく僕の音楽遍歴などなども?

 

1. 開花

まさかの田中氏のアカペラから。

しかも、作詞において主旋律は徹底してア音のみで構成するという、拘りっぷり。もはや韻とか云々の土俵では無い。

あと、アカペラの構成、コーラスの完成度含めて、男声ボーカルの極みとも言えるのでは無いかと。ここら辺は、今回プロデュースしているホッピー神山氏の手腕だろうか?

因みに、この曲を聴いた瞬間に思い出したのは、東京事変の『生きる』(『スポーツ』収録)。一番は、椎名林檎を中心とした、バンドメンバーでのアカペラで始まり、二番からバンドサウンドに変貌を遂げるのだが、次曲との流れはこの流れを想起させるには十分だった。(ついでに言うと、2曲続けて田中氏の作詞作曲である)

 

2. Alright

配信シングルとして去年公開されていた、リードトラック。今までの GRAPEVINE さを感じさせつつ、前作のリードトラック『Arma』とは違うホーンセクションが曲に彩りを加える。

ホーンセクションとか、全体的なファンキーさは、KIRINJI の『明日こそは / It's not over yet』(『愛をあるだけ、すべて』収録)を思い出させる。ただどちらもサウンドとしては “オトナ” なイメージだが、KIRINJI は “大人になってしまった” 焦燥感を感じさせるのに対し、どこと無く “大人になったったぜ” な洒脱さを演出するあたり、GRAPEVINE のロックンロールの余裕さを感じさせる。

 

3. 雪解け

ここでやっと、バンドのメインコンポーザー亀井氏作曲の楽曲が登場する。まあ、一曲目のところでも書いたが、個人的には、一曲目と二曲目はどこかメドレー感があるので、実質的には二曲目みたいな感じもしないでも無いけれど。

ただこの三曲目は、『Burning Tree』の『死番虫』の曲順と重なる。決して、開けた曲ではないけれど、確かなグルーヴを感じさせる、GRAPEVINE の魅力的なロックンロールの一面である。あと、突拍子のない打ち込みは『East of the sun』(『BABEL, BABEL』収録)だな。

それにしても、雪解けと、虹が印象的な詩が描かれてるわけだけど、どこかルーツを知ってるようで覚えてない気持ち悪さもきになる楽曲でもある。

なんだっけ?

 

4. ミチバシリ

亀井氏の楽曲のメインコンポーザーならば、もう一つの GRAPEVINE の作曲の魅力、セッション曲がようやくここで登場する。ただ基本的に「作曲 : GRAPEVINE」といつもは表記されるのに対し、今回は担当楽器一人ずつに対しての表記になっているのが、違いとして表されている。この曲の場合は、「作曲 : 田中和将・西川弘剛・亀井亨・ホッピー神山」と言う具合で、常連の、ベース金戸覚氏と、キーボード高野勲氏の名前がない。

まあ、歌詞カードを見れば分かるのだが、金戸覚氏は今回レコーディングにも参加して、一部ではセッション曲にも参加してるのだが、高野勲氏は今回は参加していないと言うのが、最近の作品との大きな違いになってると言える。(因みにキーボードはプロデューサーのホッピー神山氏が担当している。また、いつもの五人は初回限定版に付属しているライブDVDで補完できる。と言うよりも、アルバムの内容を受けてのライブDVDなのではないかとも。)

そんな、いつもと同じようで違うセッション曲は、なんとも掴みようのない怪曲。過去にも、それこそ『死番虫』やら『うわばみ』のような異物を語るロックンロールを歌ってきたわけだが、まあこういう曲で、なんでいつもこうイキイキとしているのかが分からない!

こう言う、百鬼夜行シリーズ(仮)のときの生命力、地味に魅力的。

 

5. Asteroids

意味は、(火星と木星の間にある)小惑星、らしい。最近、日本の衛星が到達したとかしてないとかの話があったような…

個人的に、宇宙を歌うバンドは BUMP OF CHICKEN なんだけど、基本的には “見つけたい / 見つけて欲しい” 欲求が根底にあって、それが当世風ロックンロール、ひいては当世風ポップソングの王道になっていると考えている。例えば、『orbital period』で描かれる世界観とかは顕著なのではないか。ちなみに同年発売された、ゆらゆら帝国の金字塔『空洞です』収録の『ひとりぼっちの人工衛星』も、役目を終えた人工衛星が人間に語りかける内容だった。あと、スガシカオの『宇宙』(『FANKAHOLiC』収録)もか。

とまあ、人間は宇宙の中の孤独に気づくと人恋しくなったり、誰かへの想いを思わず吐露したくなるものだが、田中氏の天邪鬼は、その宇宙での孤独を自由の一つとみている節がある。なんと言うか、突き放し方と言うか、物事の相対化のスケールがヤケに開いてて、「別に勝手に漂っといてもええやん 笑」みたいな詩を書く。

今回の『Asteroids』もそうだが、『流転』においてもその傾向が見られる。もっと言えばそれは人間への “醒めた視線” としてひとくくりにできるものかもしれない。

 

6. こぼれる

アルバム発売の一週間前にPVも公開された、弾き語り曲。とは言ってもクレジットでは、田中氏と西川氏の二人のギターが入っているとされているのと、一曲目よろしくの田中氏の多重コーラスがふんだんに施されているので、思い浮かべる弾き語りとは少し異なるかもしれない。

GRAPEVINE のこの手の弾き語り曲は得てしてアルバム中盤に入ってることが多い。例えば、アルバム『TWANGS』の『Twang』、『真昼のストレンジランド』の『Dry November』などがそれに当たる。

さて、話を少し戻して、この曲が実質二人のギターで演奏されていると書いたが、もしかするとこれ一発どりなのではないかと思う。それはラジオで今回のアルバムがテープで録音されたこと、そして多くの楽曲がパート毎に分けられず同じ部屋で録られていたという発言からの妄想なのではあるが、絶妙なギターの掛け合いや、終盤のノイズの混ざり具合がええんよなぁ。

まあ、とは言えコーラスの多重録音は確実なのでなんとも言えないのだけれど。

 

7. 弁天

『BABEL, BABEL』くらいから始まった、寓話を用いた言葉遊びの多い政治風刺が複雑に絡み合った楽曲。ただ、この曲はよく分からん。もしかすると頭でっかちなリベラルとか、フェミニストへの皮肉かと思ったけど、分からん。

楽曲自体も、今まで GRAPEVINE にはなかったようなメロディーライン。特に、サビの浮遊感は初めて聞いたとき結構驚いた。

これは GRAPEVINE 全体の楽曲に言えることなのだけれど、一聴するとどこがて聞いたことあるのだけれど、分解していくと結局何も分からないという不可解さ、もしくは不気味さが中毒性の一要因になってるのではないかと考える。

言って見れば一曲一曲が、ロックンロールという名を借りたスパイスカレー…みたいな?

 

8. God only knows

ふるくは『Tinydogs』、『Turd and swine』、そして『HESO』と続いてきたハードロック路線?の最新型。正直な話、GRAPEVINE のことだから、The Beach Boys の名曲を下敷きにした、ゆったりめの曲をイメージしてたから、本当に腰が抜けた。

歌詞の世界観も、前曲に引き続いて今の社会の風刺ソング。当世に蔓延しているSNSにおける個人的発信力(エッセー)への冷ややかな視線を、パスカルの「人は考える葦である」という名言と、ダーウィンの進化論を引用しながら嘲笑し、かつ “黒歴史” なんていうスラングを使いながら天賦人権論による近代民主主義を “God only knows” という言葉に集約させるという、意味のわからない作詞芸当を見せつける現代の詩人。たぶん、現代でココまでする人いないんじゃねぇか?(こちらは少し自信アリ)

ただ、『弁天』『God only knows』の2曲、ひいてはココまでの8曲は、ゆってみれば後の二曲の伏線、もしくは前提になる話であることを踏まえておかなければならない。ここで『すべてのありふれた光』への世界観の下地が整うのである。

 

9. Era

“時代” という意味の、タイトル。ただ、このアルバムの随所に見られるような寓話的な風刺や皮肉の効いた歌詞ではなく、あくまで亀井氏の美メロにのせた、田中氏の(ひいてはバンドの)述懐である。

GRAPEVINEは天邪鬼で、ファンへ向けての歌詞はとんと書いてなかった。それを解禁したのは、おそらく前作からで、『Arma』はもちろんのこと、個人的には『Chain』にもその傾向が強く見える。

ただ、別の見方をすると、ここに出てくる “きみ” との関係性は、このアルバムの『雪解け』や、次曲『すべてのありふれた光』と共通するのではないかと思う。そして、 “Era” = “時代” というタイトルは、この曲までの7曲でアリアリと書き表されている。つまり、この曲自体が、アルバム全体を一つにまとめる雁首なのではないかと思う。

そしてアルバムは、クライマックスへと静かに向かう。

 

10. すべてのありふれた光

かつて、『光について』という大名曲を打ち出したバンドの、新しい “光” の入った曲。

もう、とにかく聴いてくれ!というくらいの楽曲なのだが、先ほどの “今の時代” を描くにあたって、田中氏はいくつかの楽曲でそれを書き著していると考えている。勝手に「真昼の子供たち」シリーズと呼んでいるのだが、『真昼の子供たち』(『真昼のストレンジランド』収録)、『RAKUEN』(『MISOGI EP』収録)、『Big tree song』(『Burning tree』収録)、『SPF』(『BABEL, BABEL』収録)の四曲に続くのではないかと考える。

とは言っても、きちんと精査したわけでもないし、確立してるわけではないので見落としてる可能性もあるのだが、どこか明るくて、自分たちより下の世代(というか子供たち)を描く歌詞や、ポップ感のあるメロディラインなどが共通する。(PV見て、ちょっと確信)

まあ、そんな御託はさておいてともかくだ、“ありふれた” と “溢れた” の言葉のならべかたなどの詩の流麗さに感嘆すべきであろう。ここら辺の歌詞のこだわりは一曲目で示されている通りで、ただ舌を巻くばかりである。

 

とまあ、急ぎ足(笑)でレビューして見たわけだが、何が言いたいかというと、レンタルでもなんでもいいから一通り聴いてほしいだけである。因みにこのボリュームと質で42分という恐ろしく聴きやすいアルバムになってるのも素晴らしい。

 

ベストアルバム論、その2の4。

 

取り上げたいアルバムがあるので、積み残しを終わらせたいマン!

 

終わるかなぁ…

 

Disc 2

1. オレンジ

  さて、Disc 2 の一曲目は、堂々の二位を獲得した、有名すぎるカップリング曲。 ちなみに、一位と三位がコアなファン層が流れた楽曲という印象が個人的に強いのに対して、こちらはなんとなく SMAP を追っていたライトなファンが投票して、この順位になったと勝手に推測している。 ただ、そうはいっても人気曲というわけで、発売以降のベストアルバム『pamS』、『SMAP AID』には常連とは言わんばかりに入っている。個人的にはどちらかのタイミングで PV を 作ってもよかったのではないかと思っている。 ちなみに、『pamS』では二曲目に収録されているので、この曲が一曲目に来るのはこの Disc 2 のみである。このアルバム、一曲目を既存のアルバムと外しているのが地味に肝なのではないかとこれも勝手な推測。

  SMAP 自身、2014 年以降にはシングルでは両 A 面という形が定着したし、それ以前から世間的にはこの発売形態が広がっていたので、このような有名なカップリング曲というのは出て来にくく なるのではないかと思う。まあ、それ以前に有名なカップリング曲を持つアーティストが他にいるのかという話もあるし、『ベストフレンド』然り、彼らがシングルと同じだけカップリングに力を入れてきた結果とも十二分に言える。

 

2. freebird

  稲垣吾郎復帰後一枚目のシングルは 31 位という心地よい順位にすっと入った、大人爽やかソング。 全編にわたってゆったりとした、でもしっかりとしたラップで曲を回していき、フックのあるサビで締めるという、SMAP が新しい POP 像を作りしていく...筈だった楽曲である。 ちなみに、『SMAP AID』にも収録されており、その時には 15 位で、一曲目だった。『オレンジ』の項で書いたが、このアルバム微妙に一曲目を既存のアルバムと外しているのが面白い点である。

  ちなみにパート割としては、大サビが中居正広。ボーカリストとしての魅力はまた後ほど。

 

3. FIVE RESPECT

  メンバー紹介楽曲第二弾、おそらく世間的に一番周知されているだろう紹介楽曲は、第六位の大健闘。ちなみに第五位は同じく第三弾の『CRASY FIVE』という順位。ファン的には外せない思いで、この順位になったのだと思う。

さて、『Five True Love』がロック調だったのに対し、こちらはエレクトロパンク(?)といった感じで、こちらの方が中居正広らしい、ダンサブルかつ過度な転調、そしてそれを力ずくでまとめ上げるサビの美メロと歌詞という、鉄壁の楽曲である。

  また、変更点としては紹介順が木村拓哉から年齢順だったのが、稲垣と草彅パートが反対になったことと、一番サビを挟んでの紹介人数が三人/二人だったのが、二人/三人になったことである。こ れは、のちの『CRASY FIVE』でも同じである。

  ここからは推測だが、この変更点はライブの演出上、はじめに三人紹介すると舞台上では香取慎吾だけ出てないという状況を作ってしまうことと、もし初めの三人をそろえてパフォーマンスする場合、スピード感あふれるダンスパートを実現するために、先に草彅剛を出すという中居正広の思惑があるのではないかと考える。

ちなみに、前曲との流れは『SMAP015 Drink! Smap!』と同じである。

 

4. 世界に一つだけの花(シングル・ヴァージョン)

  メンバー紹介曲の後に、彼らの有名すぎる代表曲がドンと居座る、(文字通り)世紀の国民的名曲は、意外にも(?)12 位。まあ、みんなシングル盤を持っているのかもしれないし、他の楽曲に票を入れたい気持ちもよく分かる。そう意味では健闘したのかもしれない。

  この楽曲に関しては、解散騒動以降のファンからの応援運動で、デビュー日の週に 300 万枚に届くというドラマもあったりする。それはそれで記録としては残るのだろうけど、デビュー曲でナンバーワンになれず、すぐにスターになったわけではないのに、そこからの努力でオンリーワンになれるということを証明しているのが、この楽曲を反映 しているようで面白い。 まあ、一つ前の楽曲では「We are the best」と歌ったりしているのだが、それはそれ。

  シングルバージョンとあるように、もともとは『Drink! Smap!』の収録曲。歌唱順も大胆に変えられ、大サビ前は木村から草彅に変更された。ドラマの主題歌になったからとか、 色々な思惑はあったのだろうけれど、個人的には草彅剛の持つドラマティックな歌声と、その場の感情で変わる歌唱力が好きなので、これでいいと思っている。

  この結果、今のところ SMAP で最後のサビを取った のは草彅ということになったのも、彼ららしい。

  個人的に、この曲で表される「多様性の受容」は、2010年代には失われ始めていたように感じる。

 

5. 僕は君を連れてゆく

  世紀の大ヒットシングルのカップリング曲は、ファン投票 35 位のバラードソング。 個人的に好きな楽曲だけど、みんな好きな曲なのだろうか、といって探っていたら、みんな投票して入っていた、というような本当に良い曲。

  とはいっても、歌われた回数で言えばこのアルバムのなかでも少ない方だと思う。 

  それにしても、世紀の大ヒットシングルを、メンバー紹介曲とそのカップリング曲で挟んで、アルバムとして成立させるあたり、うまい曲順にしたなと思う。

  これぞ発表順の妙!!!

 

6. SUMMER GATE

  ニッポンの夏は、SMAP の夏と言わんばかりのポップチューンは、ちょうど順位の折り返し25位。

  さて、ここから 4 曲は『SMAP016 MIJ』からの楽曲だが、このアルバムにはシングル曲が入っていないというのが大きなトピックとして挙げられる。そんなアルバムの実質的な一曲目を担っているのがこの楽曲であるが、シングルカットしてもよかったのではないかというほどのお手本のようなポップチューン、かつアイドルソングである。

  SMAPファンの間では、この曲にかけて、SMAP のライブ開催が決定することを「サマゲ開いた」と言ったりする。

  これ、テストに出ます。

 

7. A Song For Your Love

  隠れた名曲を次々と明るみに出してくる、このベストアルバムのなかでもひときわ人気を証明する第 9 位。

  さて、基本的に人気曲というと、単純に楽曲の素晴らしさが挙げられると思うし、ここまでの紹介もそのようにしてきた。しかし、彼らがアイドルであることを推し量れば、別の魅力にも気付くはず...つまり、ダンスのフリと歌割である。この曲の人気はそこにもあるといっ ても過言ではない。

  この曲の構成は、Aメロ→Bメロ→サビが二番続いたあとに、大サビ前の Bメロ→大サビの流 れである。重要なのは Aメロで、この部分はメンバーから二人で組になって掛け合う形で歌唱するのだが、この組み合わせの一つが天下の「ツートップ」なのである!!

  「ツートップ」とは、中居正広木村拓哉SMAP年長組のことである!!  しかし、この二人の組み合わせはその人気に関わらず、あまりパッキングされないのである!!  そんな、 「ツートップ」ファン、もとい全 SMAP ファンを救済してくれる楽曲のうちの一曲が、この曲なのだ!!  

  まずイントロで、「ツートップ」が前に出てくるだけで歓声が上がり、一番を二人で踊っているだけで歓声が上がり、2 番で掛け合いながら歌って歓声が上がる!! もう、歓声だらけ。

  ただ、この楽曲の要所要所を締めるのは、Bメロの香取慎吾であることを忘れてはいけない。彼のしっかりとした歌声が、このころから SMAP の楽曲を支えていくようになった…のかな? もちろん「ロハス」もお忘れなく。

 

8. 夏日憂歌

  読み方は「サマータイムブルース」というちょっと中二心をクスグル題名は、男心を奮い立たせる「オレンジ」の続編、順位は 42 位。

  この楽曲は誰が何と言おうと、中居ソロ。もう一度言いましょう、中居ソロ!私は、このソロで SMAP にハマったといっても過言ではない! そう、私は中居正広のことを音痴と 思ったことがない!

  そんな信仰告白はともかく(笑)、楽曲中の Bメロ部分を全て中居ソロというのはこの 楽曲くらいなのではないだろうか。そしてそれに加えて、その歌声がもう半端なくカッコいい。シブいというか、やるせなさというか、男が惚れる声...というか、もう聴いてください。

 

9. ススメ!

  どっしりと構えたファンファーレは、アルバム曲ながらオリンピックのテーマソングは選ばれた 23 位。『SMAP AID』にも選ばれた知る人ぞ知る応援ソングだ。

  元々入っている『SMAP MIJ』にはアルバムのラストの曲として入っており、同アルバムのタイトルチューンといっても差し支えないだろう。まあ、MV こそ作られてないが。

  また、この楽曲は幻のシングルバージョンも存在する...らしい。しかもアレンジも少し違うとか、云云。これが結局発売されなかったことで、同アルバムからは実質的にシングルが入っていないアルバムになってしまった、のと同時に 2004年の SMAP の音楽活動自体がなく なってしまったことになる。

 

個人的に、『freebird』から、『SMAP  MIJ』までが第4期。稲垣吾郎復帰後、もといSMAPの10周年を期に、新たなポップス像を作ろうとしたのだが、『世界に一つだけの花』が生まれたことによって、その試みが頓挫してしまった時期である。

次の第5期では、『世界に一つだけの花』の “呪縛” もとい “制約”のなかで、どのようなポップスを作られてきたのかが焦点となる。

ベストアルバム論、その2の3。

9. がんばりましょう

意外や意外と低い 44 位。個人的にはもう少し上でもよいなと思いつつ、この時期の楽曲が少ないのがこのベストアルバムの唯一の残念な点ではある。

“この時期”、この第二期の模索期から第三期の 6 スマ期の楽曲は、SMAP における一つのピークといっても過言ではない。それは、この曲をはじめとして『KANSHAして』、 『しようよ』、『どんないいこと』、『胸騒ぎを頼むよ』などの楽曲群のポテンシャルのクオリティーの高さ、それを支えるアルバムにおける豪華なミュージシャンの競演、そしてソロはもちろん、パートごとの声のバランスの良さとそれに伴うパフォーマンスの華やかさなど、 様々な点が挙げられる。

この『がんばりましょう』も木村ソロ、森ソロの後に、中居・稲垣パート、草彅・香取パートと続いてサビへ向かう。そして間奏では円形に囲んでのダンスバトルと、非常にフックが多い楽曲であるが、この時期の楽曲はこの若さ(ひいては青さとも言える)を武器にしたパフォーマンスの質の高さが一つの SMAP の特徴と言える。

 

10. 俺たちに明日はある

続いても、低い 48 位。まあ、ギリギリ入ったので、良しとする。

パフォーマンスとしては、3-3 のパートがあったあと、木村ソロが入って、サビという曲の構成。ダンスとしては、スタンドマイク。これがまたカッコいんだ。 このように、パフォーマンスもさることながら、この曲でのトピックは 2014 年の 27 時間テレビ内で放送されたモキュメンタリ―ドラマのタイトルとしてだろう。そしてその内容は、まさに SMAP 解散というソレだった。 結局、真実について彼らはこのドラマ内でも直接語ることはなかった。そして解散しないことを発表したのはライブ、ファンの前だったことは彼らの在り方として印象的なシーンだったと言えるだろう。ちなみにこのドラマで歌われた楽曲はこの『俺たちに明日はある』 と、Disc3 に収録された『どうか届きますように』の二曲であった。

余談一。ドラマパートのあと、番組は「ワイドナショー」のコーナーへと移ったのだが、その際の衣装はドラマラストとのライブ衣装であった。リアルとフィクションの境目がよくわからなくなる 一瞬。

余談二。ドラマパート内でメンバー揃っての撮影のシーンがあるが、これはこの番組内で急きょ発売が発表されたアルバム『Mr.S』のプロモーション写真だったりする。本人たち はその発表に驚いていたが...。リアルとフィクションの境目がよくわからなくなる一瞬。

余談三。『Mr.S』のコンサートでもアンコールで歌われている。衣装は、『Mr.S』のメンバースーツ。 アンコールで歌ったことにも何か意味があったのかもしれないと思うと、この楽曲が入って良かったと思う瞬間。

 

11. 青いイナズマ

36 位という手堅い順位。 森君脱退という非常にナイーブな時期に出されたシングルではあるが、文字通り彼らの代表曲として名高い楽曲である。 パフォーマンスとしては過渡期という印象で、木村ソロ、稲垣ソロと続いてほか三人 のパートでサビという構成。個人的にはサビの「Get you!」も嫌いではないが、B メロで中居君が下二人を連れて真ん中から出てくるダンスパフォーマンスが地味に好き。

ちなみに PV はロンドンで撮影されたもの。そこでのフォトセッションは『SMAP 009』 に収録されている。必見。

 

12. SHAKE

これまた 27 位という手堅い順位。ライブの定番曲が、中盤あたりに固まっているのかもしれない。

この曲も、5 人になる過渡期という印象。理由は二枚目のベストアルバム 『WOOL』にある。 この『WOOL』発売時点では次曲の『ダイナマイト』までがシングルとしては発売されていたのだが、収録されているのは『SHAKE』まで。これが 6 人時代の区切りとして、 ここまでと見てください、という表れなのではないかと思っている。 ただ、作曲陣の真新しさや、パフォーマンスのダンスの抜き具合、若しくは衣装のカジ ュアルさなどはだんだん雑食期へと変化していっている。ここから、6 人時代とはまた異なる若者像を提示することとなる。

 

13. ダイナマイト

47 位という、これまたスレスレの順位。こういう王道の楽曲を入れるために、50 曲も収録したんじゃないかと思えてきた...。

『青いイナズマ』『SHAKE』『ダイナマイト』と踊れる楽曲三連続という感じで、このラインがライブの定番曲の中核になっている。楽曲のポテンシャルもそうだけど、ソロと各自のパート割も絶妙。この曲は香取ソロ。ソロパートがあるのに、木村ソロがないシングル はこの曲だけとか。

 

14. 夜空のムコウ

有名すぎるミリオンセラー、ファン投票でも堂々の 13 位。

アイドル楽曲、特に SMAP は、その曲のクオリティーの高さもあってか、本人が歌えばもっと良いのにという言説もあるが、スガシカオ曰く「この曲を時代とつなげたのは SMAP」と太鼓判を押す楽曲。

売れるアイドルっていうのは、まあ顔が良かったり、歌が上手かったり、という技術的な部分もあると思うけど、一番は時代を反映できているかどうかだと考える。スガシカオバブル崩壊後に就職していたところも詩に反映されているのかもしれないが、それがアイドル氷河期と呼ばれる時代にスターダムに上がって、時代を掴み取った曲が華やかな曲じゃなくて、 味わい深いバラード楽曲というのが、もしかしたら SMAP の醍醐味なのかもしれない。

「あの頃の未来に 僕らは立っているのかな」という詩がスガシカオ曰く、発明らしい。 「過去の未来としての現在」を歌うという複雑な視点がこの歌詞に集約されているのだが、 それをあえて SMAP にぶつけて、それに応えて売れちゃうんだから不思議なものだ。

楽曲の話というよりかは、スガシカオの話が殆どになってしまったが、まあのス ガシカオも好きなんです。もしかしたら次はスガシカオかも。

 

15. たいせつ

49 位。個人的には、入っていて一番驚いた楽曲。

キラキラアイドル路線をとっくに捨て去り、歌詞では「スーパーマンじゃないけれど」 と軽く歌う。 もしかしたら彼らの楽曲のなかで一番、跳ねている楽曲かもしれない。

発売直後のライブパフォーマンスも好き。

 

16. Five True Love

ここで初のアルバム曲、『SMAP013 BIRDMAN』から、41 位。そして、初のメンバー紹介曲。

それにしても上手いこと一枚ずつに、三曲の FIVE シリーズがバラけたもんですよ。

さて、この楽曲のメンバー紹介の順番は年齢順である。実はこの後の楽曲ではメンバー順が、変わっていたりするのだが、それは後々。

歌詞は、まだまだ若々しくて勝気。曲調もドッシリとしたロッ クテイスト。ライブではよりブラスセクションが加わって、よりファンキーかつファンファーレ感が強くなっている。

ちなみに、SMAP は森君がいる 6 人というのをメンバーは強く持っているけれど、メンバー紹介曲で必ず 5 という数字を強調するのは、一人いないことを結果として意識する ためだと思っている。この失ったものが残っているものから透けて見える感じが、SMAP の今にまで続く魅力の一つだと考える。

 

17. らいおんハート

ようやく 1 枚目の最終曲。ミリオンセラー、そして 10 周年へのバラード、ファン投票 は 23 位と堂々の順位。

特徴としては、一番 A メロ丸々木村拓哉だろう。これに中居正広はメロメロだったとか。ただ、地味に中居ソロが好き。また、アルバム『S map』には、メンバーのパートが入れ替わったバージョンも入っている。

意外とライブで歌われることが少ないけれど、個人的には 2008 年のライブバージョンが好み。

エジプト・ステーション!

 

中学受験で、指定の受験校に受かればエジプトに行かせてあげると昔言われた。

結局、その受験校に行きたくなかったので、受験当日には手抜きをして、その受験校にも行かず、エジプトにも行かなかった。

 

そんなことを思い出した今、ポールマッカートニーの新作『エジプト・ステーション』を聴いている。

 

控えめにいって、最高である。

 

そもそも、手抜きが出来ないアーティストだし、駄作などあり得ないのだが、今回は力を入れすぎてカラ回りするような “贅肉” がないのが大きい。

では、スカスカかと言えばそんなことはない。アイデアがキチンと取捨選択されていて、メリハリがあり飽きさせない。重要なのは、付くべきところにつけ、削ぐべきところを削ぐという単純なことなのだが、意外と大変なのである。

それこそ、ジョージ・マーティンのようなプロデューサーでもないと、ポールのようなアイデアマンには基本的には圧倒されるばかりなのかもしれない。

 

とにかく、アイデアの暴走が今回は極端に少ない。というか、ない。そして、それ以上にメロディーラインが素晴らしい。

 

ポールの好きなところは、一曲に最強メロディーラインが一つあれば、曲などどうとでもなるということを証明してくれるところだ。下手な展開など、野暮。したければ、メドレーにすれば良い。

そんな開き直りが、とにかくこのアルバムの楽曲からはマザマザと思い知らされる。

 

というわけで、本編そっちのけで急ぎ書いたのだが、分かっていただけだろうか?メロディーラインとアイデアの肉付きの良さ、それが今作ではベストマッチなのです!

『エジプト・ステーション』は買いです。

 

追伸 → 今回、ベースラインがソロ以降で最高に素晴らしい。というより、アルバム通して、ベースラインが気持ちいいのは本当に初めてなのではないかと。(ま、ポールの作品を全て聴いてるわけではないので、断言はできまへん。)

ベストアルバム論。その2の2。

Disc 1

 

1. Can’t Stop!! -LOVING-

言わずもがなのデビュー曲。そしてデビュー曲で 2 位というのは、最後までいじられ続けられた、SMAP らしい愛されるべきデビュー曲。 ファン投票の順位も 33 位と、まあ煮え切らない順位。

前回書いたように、まずベスト盤に収録されない曲なので、それだけでも珍しい。 曲調もいかにもアイドルという感じの、キラキラポップの元気ハツラツという感じ。ただ、こういうアイドルが減っていったなかで、レパートリーとしてこのような楽曲を持っていたことが SMAP の強みであったことは間違いない。

また、途中で童謡「きらきら星」が入っていたり、そのメロディーとサビのメロディー が重なるエンディングはかなりドラマティックである。こういうメロディーが重なったり、若しくはメロディーライン同士の追いかけをさらっと行われるのは SMAP ポップスの一つのかたちだったりする。

そういう意味でも SMAP らしい楽曲である。

 

2. BEST FRIEND

ファン投票、堂々 3 位のバラード。SMAP の楽曲のなかでも重要な意味合いをもつ楽曲の一つでもある。

重要な理由は、一つには森君の脱退時に最後に歌った楽曲であることが挙げられる。 そういう意味では彼らにとって一つの卒業ソングである。しかしもう一つには、 稲垣君復帰の楽曲でもある。そういう意味では、お帰りなさいの楽曲でもある。 簡単に言えば、メンバー同士の絆を確認する楽曲であると言えよう。

そしてそのような楽曲が、デビュー曲に続いて二番目に来てしまうあたり彼らの運が垣間見える。ちなみに二曲目にバラードが来ることも、アルバムの構成としては王道パターンとして一つあるので、そのような意味でも完成された形である。

ちなみに、有名な楽曲であるけれど、実はカップリング曲。しかも一番売れなかったシングル『負けるなBaby〜Never give up』だったりする。そんな楽曲でも収録されてしまうのが SMAP の面白さだし、魅力だし、彼らの強さだったりする。

 

3. 笑顔のゲンキ

ファン投票、滑り込み 50 位。 個人的には第一期、第二期の分岐点のシングル。

『COOL』においては、テンポをかなり落として再録。ミドルバラードになっており、 ほとんど原曲をとどめていないのだが、名曲には変わりない。個人的にはこちらの方が好き。

『COOL』にはこの楽曲より前のシングルは集録されておらず、これが分岐点と 言っている根拠。ここから SMAP は『雪が降ってきた』などの季節ものシングルや、次曲の『君は君だよ』のようなミドルテンポのバラードなどを発表していき、最終的には『$10』 で、若者を代弁するカッコいいアイドルへと変貌することになる。

 

4. 君は君だよ

ファン投票 30 位、デビュー曲より上の順位の楽曲。

このベストアルバムを語るうえでどうしても外せないのは、解散発表後に制作が決定したこと。そしてその影がどこかでちらついてしまうことだろう。 正直な話、この楽曲もこの延長線上にある気はする。そしてそれは SMAP らしい楽曲であることも多い。

歌詞の世界観は『世界に一つだけの花』同様に、個人の尊重や多様性への肯定というところで同じである。しかし、『世界~』があくまでも一市民なのに対して、この楽曲はアイドルという少し上の視点から肯定する点で少し違う。このあたりが、この時期の “揺らぎ” なのだと思う。 そして、魅力だ。

個人的には、たまに見かける昔の映像での王子様風の衣装が、割と好み。ここら辺にも “揺らぎ” が見えるのが面白い。

 

5. どうしても君がいい

ファン投票で 7 位、表題曲越えのカップリング曲、その 2。 この曲も解散発表の影に押されたが曲のように思える。ただそれだけで 7 位に入るの は至難の業なので、もともと隠れた人気曲だったのかもしれない。

アルバム自体への収録は 2001 年発売の裏ベスト『pamS(裏スマ)』にも入っている。その年のコンサートでは歌われなかったものの、2003 年のコンサートでは終盤でロック色強めにアレンジされ、大いに盛り上がった。(個人の感想です)

『君は君だよ』がアイドル目線なのに対し、こちらは同年代の男の子という感じ。 『雪が降ってきた』以降のシングルを考えれば、こちらが表題曲に来てもおかしくないが、 そこもまだ地が固まっていない “揺らぎ” なのだろう。

 

6. $10

さて、どことなーーーーーく湿っぽい楽曲が一曲目から続いてきた中で、ようやくラ イブの定番曲がやってきて、明るい雰囲気を持ってくる楽曲が来た。順位は 39 位と低いものの、この曲無しではライブアーティスト SMAP を語れない、名刺代わりの『$10』である。

先ほどから、往年のアイドル路線で進むのか、若しくは等身大の男の子路線で行くのか、 “揺らぎ” について言及してきたのだが、ここでは等身大の自嘲するお兄さんアイドル という形でアウフヘーベンされ、乗り越えた形になっている。この、一歩先へと導く視点こそが SMAP の一つの大きな武器となったし、それを掴んだのが『$10』だったと言える。

そういう意味では二枚目のデビュー曲的な意味合いも強いのだろうが、とにかくリミックスが多いのもこの楽曲の魅力。ライブバージョンも含めればそれだけでおそらく一枚のアルバムが完成する。反対に、シングルバージョンの方が披露される機会が少ないのでは?

 

7. 君色思い

さて、揺れては戻る SMAP が求めるアイドル像ではあるが、キラキラアイドル路線の最後ともいえる楽曲『君色思い』、ファン投票では 22 位。

この曲は何を差し置いても、中居ソロから始まる点に尽きる。次に、大サビ前の香取ソロ。もしかすると、バラエティ枠の両輪を担うこの二人がキラキラアイドル路線の象徴なのではないかと思う。 楽曲としては、サビでの「愛してるー」の追いかけが印象的。

 

8. オリジナルスマイル

ファン投票 4 位、ギリギリトップ 3 に入れなかったものの、シングル曲では最高順位という、ある意味勝ち抜いた楽曲といっても過言ではないだろう。5年前に発売された 『SMAP AID』では堂々の一位。楽曲自体の最高順位はオリコン 2 位だが、コンサートで歌われ続けた、愛された楽曲である。

さて、SMAP のラストライブをどこに持って行くのか、というのは色々と議論の余地を残していると思うが、個人的には 2016 年元旦の CDTV だと思っている。確かに、解散騒動後の NHK「明日へコンサート」やスマスマラストの『世界に一つだけの花』も印象的ではあるが、純粋な SMAP 演出のライブでいうと CDTV が頭一つ抜けている。そしてそこで最後に歌われたのが、何を隠そう『オリジナルスマイル』であった。 ちなみに、「明日へコンサート」の一曲目もこの曲だったりする。

このあたりが、他のシングルを抑えて 4 位に入っている理由だろう。

 

ベストアルバム論。その2の1

  前回のシリーズものを書き終えたときに、ベストアルバム論ひいてはベストアルバム批評がこのブログの主軸になるんだろうと思って以降、次をどうするかと考えて、結局 SMAPSMAP 25 YEARS』を選ぶことにした。

  そもそも SMAP におけるベストアルバムは、その音楽活動において重要な役割を果たしていると考えている。初めに、そのことに触れておこうと思う。そして、もちろんこのことを前提に、上記のアルバムも書くつもりだ。

 

  さて、SMAP にはこのアルバム以前に、五つのベストアルバムがある。すなわち『COOL』 『WOOL』『SMAP Vest』『pamS(裏スマ)』『SMAP AID』であるが、このうち『SMAP Vest』のみコンピレーションアルバムで、あとはファン投票だったり、もしくはシングル以外の人気曲を集めたものだったりする。 当方、SMAP の音楽性は25年間(実動24年間)で約八回大きな変化がったと考察している。第一期はキラキラアイドル期、第二期は音楽性模索期、第三期は 6 スマ期、第四期は雑食期、第五期は『世界に一つだけの花』期、第六期は J-pop 期、第七期は香取慎吾プロデュース期、第八期は SMAP 覚醒期とまあ雑だけど、割と良い線いってると思う。

  ここで重要なのは、上記のベストアルバムがどの範囲を対象にしているかである。面白いことに『COOL』に入っているシングルは第二期オンリー、『WOOL』も第二期から第三期 のみ、『pamS(裏スマ)』はシングルなしで第一期から第三期まで幅広く、『SMAP AID』は 第五期から第七期が中心となっている。 アイドルの常道、というモノがあるかどうかは分からないが、基本的にはデビュー曲が代表曲、もしくは一般に周知されているというパターンが多い気がする。しかし見ての通り、 SMAP の場合はデビュー直後の第一期の楽曲をベストアルバムにほとんど収録しない形をとっている。それをこのアルバムではどう扱っているかが、一つの注目ポイントである。

  二つ目は、『SMAP AID』との差別化である。見て行くと分かるが、被っている曲が多いのもまた事実なのである。その中で、『SMAP AID』以降の楽曲、特に第八期の曲が何曲入っていて、それでいてどのような曲が選ばれたのかが注目ポイントである。

  そして最後に、ファンによって選ばれた三枚組全 50 曲がどのように降り割られたか、つまりどのようなグループ像を浮かび上がるように演出しているかをポイントとして挙げる。 あるいは年代順にすることによって起きるマジックとも言える。

 

  では、このベストアルバムをここからは一曲ずつ見て行こう。

  ただ、長すぎて実は先が見えてないです。8月中に終わるかな…

口に優しい言葉から

 

びっくりするくらい反対の意見が自分に飛び出してくることがある。

一週間とは言わないものの、割と短期間のうちにである。

戸惑いがないわけではない。やれ、話の内容が「面白い」「面白くない」、容貌の「良し」「悪し」、または「綺麗」「不潔」、歳が「若い」「老けてる」なんてこともあった。

 

当方としては、どちらが嬉しいということもない。他人のいうことなど千変万化、その時々に切り取った「私」を見ているだけなので、左右されないのが吉だ。

 

ただ友人関係は別で、彼らはよく見ているので、礼を忘れないようにしつつ、あまり気取らないようにもする。“親しき仲にも礼儀あり”というが、礼を尽くす価値のある人を、「友人」ともしかしたら考えているのかもしれない。

 

しかし、人間思いがけず、不思議な言葉をかけられることもある。

訳あってメイクを施してもらったときに、「あなたの顔は完成されている」と例えられたのである。

 

「美しい」「若々しい」ならともかく、「完成されている」という言葉は非常に不思議な心持ちがした。

当方まだ二十歳過ぎにして未だ道成らずの身なので、「完成」も何もないのだが、その言葉が自信をくれたことは確かである。

 

今の自分を頂点だと思う気はさらさらないが、一つのピークを迎えてると前向きに捉えることができる嬉しい出来事であった。